レア曲づくしのライブ。|Hello Sleepwalkers / 夢遊同盟 presents「月齢ゼロ」@新代田FEVER
6月9日、いわゆる『ロックの日』に新代田FEVERで行われた、Hello Sleepwalkersのライブを観に行ってきた。
今回のライブは、公式ファンクラブの『夢遊同盟』の主催する公演となっていて、そのせいもあってかライブは終始和やかなムードだった。セットリストもヒット曲や定番曲が普段と比べると少なめで*1、ファンクラブ内で募った『演奏してほしい曲』のアンケートから上位3曲を演奏したりと、完全にファンクラブ限定ライブの雰囲気。……チケットは一般発売もしていたけれど。
今回はメンバー全員で客入れの時に流すBGMを決めたとのことで、クラフトワークの「The Robots」、エスパの「Savage」、人間椅子の「杜子春」など、テクノ・K-POP・プログレとジャンルの概念に囚われない斬新な選曲がなされていて面白かった。僕は開演時間のギリギリに入場したので聴くことが出来なかったのだけれど、沖縄民謡も流れていたらしい。すごい。
開演時間になると、いつもの*2クラブ・ミュージック的なSEが流れ始め、照明がまだ暗いまま始まったのは「惑星Qのランドマーク」。てっきり去年の11月にリリースされた新譜からの選曲だと思っていたので、意表を突かれた。続いて「五次元少女リア」とこちらも1stからの選曲。LiveFansで過去のセットリストを見てみると、なんとこの曲は2015年の『Quintet Laboratory』以来の披露。ファンクラブ向けのライブだけあって、久しぶりの曲も多い。とはいっても、この前のリリースツアーで披露された曲以外は、全て2018年のライブ活動休止以降披露されていないことになるので、大半の曲が久しぶりではあるけれど。その後は、3rdから「デジ・ボウイ」、最新作から「虚言症」と似たテイストの曲が続く。実は「虚言症」を初めて聴いた時、『この曲は「デジ・ボウイ」の系譜だな』と思い、この前のアルバムツアーに際してのセットリスト予想企画でこの二曲を並べたセットリストを作って応募したので、自分の予想が少し実現したような気がして嬉しかった。
MCでは、ライブタイトルの由来について語られた。ライブタイトルの『月齢ゼロ』にあたる新月は、地球からは見ることのできない月の裏側に太陽の光が当たっており、それと同じように普段は陽の目を見ることの少ない曲たちに焦点を当てる、という意味が込められているそう。
『といいつつ次の曲はこの前のアルバムからです』と言って始まったのは「電脳の海」。ボーカルのシュンタロウさんがギターを置いてマイクを手に持ち、跳ねるように歌う様子が印象的だった。続く「Worker Ant」の前奏は初めて聴くアレンジで、恐らくシュンタロウさんの機材のセッティングをするためのインターミッション的な意味合いがあると思うのだけれど、結局シンセサイザーのフレーズが聞こえるまで何の曲かわからなかった。コロナ禍ということで、定番の『もくもく働こう』と観客が歌うくだりは出来なかったものの、ライブの定番曲だけあって最高に盛り上がり、そのまま勢いを止めることなく「円盤飛来」へ。間奏ではマコトさんが『ここからフィーバータイムだ行くぞ!』と会場の新代田FEVERに掛けて言っていたが、その後のMCで『フィーバータイム激アツでしたね~』とナルミさんにイジられていた。
MC明けからはファンクラブ投票の上位3曲、「Perfect Planner」「水面」「日食」が演奏された。個人的に、Hello Sleepwalkersは『Planless Perfection』で作品の完成度がピークに達した感じがあったので、その前後の時期に作られた曲たちがこうして上位に並ぶのは納得。曲を作っていた当時のことを懐かしむようなMCを挟んで、『ここからちょっと上げ目の曲行きます!フィーバータイム行けますか?』と高らかに宣言し、いよいよラストスパート。
本編最後のブロックのトップバッターを飾るのは、2ndから「Bloody Mary」と「砂漠」。純粋な格好良さで言うと2ndが一番だと思っているので、この選曲には思わずテンションが上がる。間を置かずに、最新作から「20世紀少年」を演奏。アルバムツアーを経て、観客のクラップもだいぶ手慣れたものになっていた。元々Soundcloudでデモが公開されていたり、活動休止前も度々演奏されていたりと、音源が世に出る前から親しまれていたこともあり、観客の盛り上がりは最高潮に。本編最後は、その盛り上がりに止めを刺すようなキラーチューン「猿は木から何処へ落ちる」。シュンタロウさんの『かかって来いよ!』という叫び声で盛り上がりはその日一番の高まりを見せた。
アンコールでは、まずボーカル以外の3人が登場。『ボーカルは色々準備があって、出てくるまで時間が掛かるみたいだし、セッションでもやる?』というマコトさんの提案により、即興のセッションが始まる。その後、シュンタロウさんとナルミさんが遅れて出てきてセッションに加わった。セッションが終わった後は、SNS用の写真撮影、そしてVRでのライブ撮影を行うということで、専用のカメラのセッティングが行われた。
アンコール1曲目は「2XXX」。撮影の都合上、1曲終わるごとにMCを入れる必要があるということで、この曲はVRっぽいから是非やりたかったということ、前回のアルバムツアーで最終選考まで残っていたが、結局セットリストに入らなかったことが語られた。
2曲目は、前回のアルバムツアーでも披露された新曲。サビをナルミさんが歌う、「水面」や「新世界」のようなタイプの曲。MCでは、この曲の仮タイトルについて語られた。タイトルは「レバンナ」で、ジェロム・レ・バンナという格闘家の名前から取ったとのこと。「レバンナ」のままやるのは今日が最後、次はもっとカッコいい曲名になっているから気付かないかも、だそう。
そして本日最後の曲は、代表曲である「午夜の待ち合わせ」。バンドの中でも一番有名な曲ということで、今回のライブでは演奏されないのかと思っていたら、アンコールの最後の曲という一番良いポジションでの披露となった。2分50秒と短いながらもしっかりと観客を盛り上げて、演奏を終えたメンバーは袖へと去っていった。
個人的に特に良かったと思うのは、「惑星Qのランドマーク」。自分は「マジルヨル:ネムラナイワクセイ」~「Nameless Fiction」*3辺りの曲調が大好きなので、久しぶりにライブで聴くことができて非常に嬉しかった。自分が観たのは2016年の『Quintet Laboratory』以来だったので。
あとは、「Perfect Planner」。ライブで聴いていると、今は亡き赤坂BLITZで観た『Planless Perfection』のアルバムツアーのことを思い出して少し胸が熱くなった。この曲がファン投票の1位だったのも頷ける。「Bloody Mary」「砂漠」という『Masked Monkey Awakening』からの選曲にも驚いた。確かに最近のライブで聴いた覚えは無い。これは中々レアだったのでは。
演奏について気になったことを挙げると、明らかにアンコールの方がボーカル両名の発声が安定していて、音の取り方も声量も完璧で驚いた。撮影があるから本編では力をセーブした状態で歌っていたのだろうか…。凄い。本編では、音が正確に取れていない個所や、息が続かずにやむを得ずシャウトに移行していた個所があり気になったのだけれど、これは単に正確さよりもその場の勢いや盛り上がりを重視しているだけかもしれない。それでも、映像作品として残る部分は原曲通りに完璧に歌いきるのは流石プロだなぁと思った。
MCによると新曲のリリースも近いということで、新譜やリリースツアーが楽しみ。次のツアーでは久しぶりに「アキレスと亀」が聴きたい。お願いします。
セットリスト
- 惑星Qのランドマーク
- 五次元少女リア
- デジ・ボウイ
- 虚言症
- 電脳の海
- Worker Ant
- 円盤飛来
- Perfect Planner
- 水面
- 日食
- Bloody Mary
- 砂漠
- 20世紀少年
- 猿は木から何処へ落ちる
<ENCORE>
- 2XXX
- 新曲
- 午夜の待ち合わせ